
勝田台駅から徒歩5分。貝殻亭リゾート&ガーデンズの1000坪にもなる敷地の一角にあるカフェ「ガーデンサロン」。1階は洋菓子店「ル・ジャルダン・デュ・ソレイユ」、2階はオリエンタルなインテリアで優雅にアフタヌーンティーが楽しめるカフェになっています。こちらのカフェの魅力の一つが、窓の外に広がる「五感で感じるガーデン」です。
今回ペアを組んだ相手は自然の生き物をモチーフにペンと透明水彩で幻想世界を描き出す、水彩作家のmatagotさん。素顔を公開していないので、写真では猫のお面で参加していただきました。日本原産種のバラをはじめ、年間通してさまざまな花たちが主役となるガーデンに大きくインスピレーションを受けた様子。自然や生物を取り込み再構築するmatagotさんの世界観は、今回の企画ではどのように表現されるのでしょうか。
五感を刺激するイングリッシュガーデン
-6月の終わり、作家のmatagotさんと取材チームは、700坪もあるイングリッシュガーデンを案内していただきました。エプロン姿でニコニコと私たちをもてなしてくれたのは貝殻亭リゾート&ガーデンの社長、岩崎さん。庭の奥へどんどん足を進めながら、「これはアナベル、あれはスモークツリー、ここには春になると…」と熱い解説が止まりません。
季節の花々が咲き誇る庭はレストランやカフェ利用の方以外にも開放しています。シェフ用の菜園で育てられたハーブや野菜を料理に利用したり、花と緑に囲まれたガーデンウェディングが行われたりするなど、さまざまな形でお客様を楽しませています。できるだけ自然に近い形を守って手入れしているため、小動物や虫が住み着き池には渡り鳥が訪れるなど、地域の自然環境の一部にもなっているらしいのです。
岩崎
(歩きながら)ちょうど梅雨で雨がわーっと降り、一気に水分を吸収して成長する時期です。これから2週間くらいで全体を剪定していくので、今はまさにどこに何があるかわかりにくい時期ですね。
このガーデンは「五感で感じる」がコンセプト。ただ眺めて美しいなというだけではなくて、体で感じる庭にしたいと思っています。
バラについては、八千代市では京成バラ園のローズガーデンで1600品種ものバラの競演、佐倉市では草笛の丘で原種やオールドローズなどが楽しめます。我々のガーデンはその間にあって、日本のバラ17種類が楽しめるようになっています。ノイバラやはまなすなど桜のような日本のバラを見て欲しいですね。
あとは宿根草をたくさん植えています。冬には枯れるけれど春になるとまた芽を出すものばかりを選んでいます。ガーデンとともに僕らも成長したいという思いがあるからなんです。
絵を描くことと料理をすることの共通点とは
-さて、庭からガーデンサロンに戻り、今回の展示の舞台となる2階のコロニアル・デザインのカフェスペースでmatagotさんの絵を見ながらお話を聞いていきます。



岩崎
一番最初に絵を人に見てもらった頃のことは覚えていますか?
Matagot
小さい頃に姉に影響されて絵を描き始めました。その頃は自分に自信がなくて、気分が不安定で、 自分の取り柄は絵を描くことしかないなと思っていました。私の絵を見たある人が展示して見てはどうかと言ってくれて、 だんだん絵によって力が湧いてくるというか、自信が出てくるというか…。その人が言ってくれなかったら、そもそも絵を描き続けることもなかったかもしれません。
絵が嫌いになって一時期離れていたこともありましたが、 それでも離れている時にも絵を見たり。その繰り返しでここまできました。今はもう人があっと驚くような絵をたくさん描くぞ、という意気込みがあります。
最近は絵を出せる場も広がってきました。想像がつかないものを描くのが好きなのでいろいろなものを見て、触って、体験して、それを絵に取り込んで行くこと自体を楽しんでいます。
岩崎
僕の仕事で考えると、好きで料理をするのとお客様に食べてもらう料理を出すことは違います。
僕にはお客様に健康になってもらいたい、料理を楽しんでもらいたいというのがあります。絵の場合も、楽しむために描くのと人に見てもらおうというのは違うのですか?共通点はありますか?
Matagot
自分が見たいものを描いていることもあります。でも「人が楽しむ絵ってなんだろう」から模索し、他の人の視線を意識して、それがだんだんと自分の絵になってきたと思います。
目で楽しむことは、絵と料理との共通点ですね。見た方からこういうふうに伝わりましたとか、影響されました、という声をもらうと嬉しいです。
岩崎
料理も最近はただお皿に盛ればいいだけではなくて、例えば白いお皿に素材の赤ピーマン、アボカド、ラディッシュなどで 視覚的に楽しんでもらうというのがかなり主流になっています。 料理のお皿を置いた後に、サービススタッフがピーマンのソースをかけるなども試みていますね。
Matagot
作品を作るときは、始まりは何もないところから。頭の中に白い紙を出して、そこにどう描くかをシミュレーションします。結果的には自分がイメージしていなかったものができることもあります。
季節ごとにいれかわる庭の主役。小さな植物の世界をぎゅっと集めて伝えてみたい。
-今回の「ART x CAFÉ」でどんなことをしたいと考えていますか?
Matagot
貝殻亭さんの入り口は貝殻や海をイメージされているものが多いですね。 先ほど見てきたお庭が広くて居心地も良く、ここに穴ぐらを作って住み着きたいと思ってしまいました。私は植物を見たり触ったりしながら自然の中で一日中過ごせますし、描くものにもほぼ必ずどこかに植物があります。
作品は10〜11月ごろに咲く花からイメージを膨らませて庭全体を描きたいです。細かく描き込んで、間に空想の生き物を混ぜていくのはどうかなと考えています。
岩崎
10~11月になると枯れてしまうものも多いんですが、冬も残る植栽も置いてあります。例えばユーフォルビアは、ここの庭では何年も経っていて巨大なのですが、大きいのがわさわさわさっとして可愛い。ガーデナーを楽しませてくれる、冬の主役です。ここの庭は一年を通して、時間が経つごとに主役が変わっていきますが、季節季節の主役を全て同じ絵に盛り込むみたいなことはできますか?
Matagot
その手法はよくとります。 実際に見えていない植物を主役にするというのをやってみたいと思っていました。この機会に普段描いて見たかったいろんなものを詰め込んだ絵をかけたらいいなと思います。
岩崎
早春、2月くらいになると毎月違う主役が現れます。 小人のように見える青くて丸いクロッカスがたくさん顔を出し、それからすずらん、それが終わると さくらいばら、モッコウバラ、エキナセア…みんな顔が違うんです。
秋は全部形が違うグラス類(イネ科)が出てくるし、夕日を背景にしたり、ランプの灯りに照らされたりなど幻想的な風景も見られます。一年を通して主役がたくさんいます。 植物たちの小さな世界にはワクワクしますよ。お客様が喜んで撮影して送ってくださるので、季節季節の写真がたくさんあります。参考にしていただくことができますよ。
ただ、写真では難しい、絵でしか表現できないところもあると思うので、とても楽しみですね。
メニューはこれから料理人と相談して考えます。 描いていただいたガーデンの地図をランチョンマットにするなどのアイデアも実現したいですね。
-岩崎さんはレストランの経営者であると同時にガーデナーでもあるんですね。すごく植物に思い入れがあるようですが?
岩崎
まだ答えは見えていないのですが。 年を取って、本当に心身ともに健康な人というのは土に携わっている人、農業をやっている人だと思っているんですね。自分は最後の最後、人生の5分の1は土をいじっていく、今やっていることはそういうことに繋がっていくと考えています。
新しい出会いに前向きに。みんながハッピーになる空間を目指して。
-最後に、今回の企画に参加した理由を教えてください。
Matagot
(アートカフェ猪野商店の)猪野さんに声をかけてもらいました。これまでは踏みとどまってしまうこともあったのですが、 これをきっかけに何か新しいことをしたい、新しい自分が見つかるのでは、と思ったんですね。
岩崎
僕はかなりチャレンジャーですから(笑)。
基本的には前向きで、いただく縁は自分に回って来た縁だなと思って、チャレンジします。 今回主催者の方にこんなことやろうと思っているんですけど、と声をかけられて、お話をうかがう前から、やります!というつもりでいました。僕の動機は人に喜んでいただきたいということ。仕事でもなんでもそうです。参加者の皆さんとここに来るお客様、皆さんがどうしたらハッピーになるかなということを常に考えています。
-ありがとうございました。ガーデンとアートに関わる濃厚なお話になりました。
この後、貝殻亭リゾート ガーデンサロンでは、この対談通りのコンセプトに沿ってスペシャルメニューを考案。季節のフルーツと花をあしらったプレートに最後はフルーツソースでお客様の手で仕上げるという贅沢なデザートプレートメニューができあがりました。期間限定、カフェタイムのみ提供、要予約とレアな一品です。
カフェ内には繊細な筆づかいの水彩を中心とした作品が十数点飾られています。貝殻亭のガーデンとmatagotさんの描く架空の生き物が交わる不思議な世界も展開されています。ぜひ実際に足を運んで、この空間をお楽しみください。(作品やグッズの販売もされているので、気に入ったものはお手元で楽しんでいただけます)
スペシャルメニュー
「アシェットデセール Blossom Art year around」
※要事前予約(TEL 047-409-2040)※Café time(15:00~)でのみ提供
「アシェットデセール Blossom Art year around」
貝殻亭ガーデンの春夏秋冬に開花を迎える花々を、1つのキャンバスに一緒に咲かせる。
その時その時、表情が変わるガーデン、時を超えたデッサンでは、見えないものに出会える。
そんな時空を超えた、夢のようなアシェットデセールをご用意いたします。
お皿の上にひろがる真っ白なフロマージュ・クリュ、季節季節の果実や草花が添えられる。
クライマックスは、自然由来のエッセンスをいくつかご用意します。
お客様の好みの組み合わせで、お召し上がりください。

